『無敵の人』という現代の被差別階級に関して思うこと

6月28日に、京王線でジョーカーの格好をしていた男性がナイフで切りつけた事件の初公判があった。

その事件があった直後、「『無敵の人』が無差別大量殺人をしようとした。やっぱり、『無敵の人』は、犯罪者予備軍である」というような言説をよく目にした様な気がする。

色々なマスメディアでも、「政府が、『無敵の人』に手を差し伸べるべきだ」みたいな論調になったり、ネットでは、「『無敵の人』は、犯罪者予備軍だから、怖い」みたいなことを書いている人が多かったりしたと思う。

前半の手を差し伸べるということ自体は、どんどんやったらいいと思うし、社会的弱者に手を差し伸べることは、政府の役割だと思う。

 

しかし、その理由づけが、「『無敵の人』は、犯罪者予備軍であるから」みたいなことになっているのは、正直、解せない。

だって、ほとんどの人は、殺人事件や傷害事件があったとき、職種を確認しているわけじゃないから。

なんとなくの印象で、ある属性の人々が、犯罪者予備軍であると決めつけられるのは、明らかに差別であり、許されないことだ。

じゃあ、本当に『無敵の人』と凶悪犯罪に関連性が見られるのかどうか調べてみたいと思う。

 

統計に詳しかったり、犯罪の研究をしていたりした人から総ツッコミが入るような内容になる可能性がかなり高いけど、イキった中学生が自由研究をしたと思って、ボコボコに反論してもらえると助かります。

 

 

 

まず、前提から

政府の統計を調べても、『無敵の人』という項目はないので、『無敵の人』の中で、最も関連性が強い性質と思われる『無職』で調べたいと思う。

比較対象として、土建業の数値も引用する。

調べる犯罪は、殺人罪などが含まれる凶悪犯と、暴行罪などが含まれる粗暴犯の2つにする。

 

 

調べた結果

Googleで検索をかけると、

職業別犯罪率ワーストランキング 土建、無職、飲食の首位争い グラフつき - 世界を見える化するサイト ミエルカ

というサイトがあったので、ここから数値を引用すると、

凶悪犯(検挙人数/職業人口10万人)は、土建業 14.52、無職 9.6。

 

粗暴犯(検挙人数/職業人口10万人)は、土建業 221.30、無職 74.80。

 

という様に、どちらも、土建業の方が上回った。

 

しかし、土建業の人は、働いていて仕事もあるわけで、『無敵の人』ではない。

 

 

なぜ、このような偏見が蔓延るのか?

 

調べていると『凶悪犯罪に関する新聞報道における土木・建設業に対する偏向分析』

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejipm/75/5/75_I_135/_pdf

という論文を見つけた。

この論文によると、無職は、職業別の新聞報道偏向度ランキングでは、15位であり、平均よりも上の順位だった。

そう考えると、マスコミの影響で、『無敵の人』というイメージがつけられてしまった可能性が高いように思われる。

 

また、犯罪を起こした人と自分の間に、「働いているか、いないか」という境界線を引くことで、同じ種類の人間ではないと思って、安心したいのかもしれない。

 

 

じゃあ、土建業の人が犯罪者予備軍なのか?

以上の情報から、早合点して、「土建業の人は、犯罪者予備軍である」と考えるのは、かなりまずいことだと思う。

 

自分の身に置き換えられる人が多そうな例に変えて説明すると、「両親が共働きだった人は、愛着形成ができていないから、愛着障害を持っている」って言われたら、どうだろうか?

 

例え、関連性がどれほどあったとしても、両親が共働きで愛着障害を持っていない人間にとって、「あなたたちは、愛着障害だ」と言われていい気がしないのは、当然だろう。

勿論、研究で、犯罪の要因となるものを探すことは、良いことだと思う。

 

しかし、一般人が、勝手に主語を大きくして、「土建業の人は、犯罪者予備軍である」や「『無敵の人』は、犯罪者予備軍だ」という様に、勝手に決めつける様なことはしてはいけない。

 

 

 

一言でまとめると

「〇〇な人は、犯罪者予備軍だ」みたいな考え方は、そもそも正しくないこともよくあるし、差別的で良くないから、やめた方がいい

 

 

 

 

拙文最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

参考文献:職業別犯罪率ワーストランキング ミエルカ https://mieluka.com/23/

『凶悪犯罪に関する新聞報道における土木・建設業に対する偏向分析』

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejipm/75/5/75_I_135/_pdf